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ガラスと線画の物語*第34話『想い』

2013年08月13日


* * *

深い深い海の底
陽の光もとどかないその場所は
まっくらやみで どこまでも静かです。


くじらさんと旅にでた魚は
あのうつくしい歌声の流れてきた
海の道をたよりに
ようやく歌声の主にたどり着いたようです。

あまりにもさみしい
海の底からきこえてくるその歌は
いまにも泡みたいにきえてしまいそうでした。

魚は 勇気をだして
歌声の主にあいさつをしました。

『はじめまして。
あなたのうつくしい歌声をきいて
遠く南のサンゴの森からやってきました。』

しかし、歌声の主は
ただただ 歌い続けるばかりです。

『あなたはなぜこんな真っ暗なさみしいところで歌い続けているのですか?』

『私のうまれたサンゴの森にきて、ぜひみんなにも歌をきかせてやってほしいのです。』

魚は歌声の主につぎつぎと話かけますが、
答えが返ってくることはありませんでした。
うつくしいと思っていた歌声は
どこか悲しく感じます。

くじらさんはまた、大きなひとりごとをつぶやきはじめました。
それはどうやら昔話のようです。

「その昔、この場所には人魚がいた。その人魚はとても陽のひかりに弱くいつも静かな海の底ですごしていたのさ。」

くじらさんのひとりごとは続きます。

「それでも人魚は、光の差しこむ いろとりどりの海の景色に憧れた。いつも海の底からわずかに差し込む光をながめては、歌をうたっていたよ。。」

魚は歌声の主が人魚だということを知りました。

「その人魚さんは、もうここにはいないの?」

まっ暗な闇のなか、魚がたずねると
くじらは歌声のするほうへ青い光を照らし
こういったのです。

「この歌声は、人魚の想いそのものなのさ。
今はもう泡となって 歌声だけが
この広い海をさまよい続けているのだろう。」

魚は
うつくしくて どこかかなしい人魚の歌声を
ちいさな泡に包んで
くじらさんにいいました。

「さぁくじらさん、あたたかい故郷の海へサンゴの森へ帰ろうよ。」

*おしまい*

******



パラルシルセさんより届けられた
次回のキーワードは『優雅』。
ガラス作品は、いっぷくうさぎのブローチです。





みなさんはこのテーマでどんなお話を想像されるでしょうか。
次回は2013年8月20日(火)18時にお届けします。
お楽しみに☆



☆この企画は毎週火曜日18時 2つのブログで同時更新しています☆
京都寺町雑貨屋パラルシルセの手作りブログ
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