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ガラスと線画の物語*第50話『遠い場所』

2013年12月03日
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しんと静まりかえるつめたい夜

オオカミさんが 
星のまたたく冬の夜空をながめているときのことでした。

黒い影をのこした山々のむこうから
だれかの遠吠えがきこえてきます。

「おや。これはめずらしい」

冬の澄んだ冷たい空気は 
ときどき、はるか遠い場所のだれかの声までも運んできます。

オオカミさんは目を閉じて
ぴんとはりつめた耳をすまします。

とぎれとぎれに聞こえてくるその声は
なぜか とてもなつかしくて 
鼻がつんと痛くなりました。

オオカミさんは
今はもう、どこにもなくなってしまった 
生まれ育った場所のことを思い出しながら

夜空にむかって 遠吠えをひとつ返しました。


「帰りたいなぁ 元気だよ」 


冬の澄んだつめたい空気は 
遠い場所で呼びかける誰かの声をきっと運んでくれます。

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パラルシルセより届けられた
次回のキーワードは『幸せな時間♪』。
ガラス作品は、三日月くんと一番星くんのペンダントです。






みなさんはこのテーマでどんなお話を想像されるでしょうか。
次回は2013年12月10日(火)18時にお届けします。
お楽しみに☆



☆この企画は毎週火曜日18時 2つのブログで同時更新しています☆
京都寺町雑貨屋パラルシルセの手作りブログ
ものづくりの箱庭

ガラスと線画の物語*第49話『仕上げのデザート』

2013年11月26日
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「あああ、いそがしい いそがしい」

街で評判のレストランは今夜も満席で大忙し。

うさぎの給仕さんは 
ディナータイムに訪れたお客を席に案内し、
できたての料理を運んで お皿をさげて・・・

おいしい料理に話もはずみ、
店内はお客の幸せそうな笑顔であふれていました。

そんなお客のようすに ほっとひと息つくまもなく
仕上げのデザートの準備をします。

「ねぇ、デザートはまだかしら。とっても楽しみにしてきたの!」

このレストランにやってくるお客はみな、仕上げのデザートを楽しみに
やってくるのです。

うさぎの給仕さんは、
次から次へとあがる 「デザートはまだ?」 というお客の声に 
いつもよりもあわてたのでしょう。

できあがったデザートに飾られていた 
おいしそうなさくらんぼを お皿の上に落としてしまったのです。

「しまった!」

あわてて拾い上げたさくらんぼをみて ふと 思いました。

「あんなにお客が夢中になる仕上げのデザートって どんなだろう。。」

うさぎの給仕さんは 何度もお客に運んできたこのデザートを
いままで一度も味わったことがなかったので
つい つまみ食いをしてしまうのでした。

さくらんぼのあまりの美味しさに驚いたうさぎの給仕さん

この生クリームのかかったフルーツたちは?
このチョコレートムースは?
このふわふわのスポンジは?

夢中でつまみ食いしているうちに 
デザートのお皿は すっかりきれいになくなっていました。

「ああ、こりゃ叱られる。。でも なんておいしいんだろう!」



それからというもの

うさぎの給仕さんは 
仕上げのデザートを待ちわびるお客に
冗談交じりに でも自信たっぷりに話しています。

「この私も つまみ食いがとまらなくなるほどの
魅惑のデザートでございます。」


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パラルシルセより届けられた
次回のキーワードは『遠い場所』。
ガラス作品は、オオカミ座のブローチです。






みなさんはこのテーマでどんなお話を想像されるでしょうか。
次回は2013年12月3日(火)18時にお届けします。
お楽しみに☆



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ガラスと線画の物語*第48話『幻の王国』

2013年11月19日
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霧の向こうには 
とても美しく立派なお城がたたずんでいました。

どこかひっそりとした雰囲気のそのお城には
人の気配はどこにもなく 
風が吹くたびに 寂しげななき声がきこえてきます。

ないているのは 一頭の白馬でした。



かつて そのお城には
城主とその家族と、たくさんの召使いたちが暮らしており

毎日訪れる客人をもてなすため 朝から晩までにぎやかに 
華々しい宴が繰り広げられていました。

城主のご自慢だった美しい白馬は 
誰もいなくなったこのお城で 
もうずっと 主の帰りを待っているのです。

白馬は ときどき風向きによって聞こえてくる
楽しくにぎわう人々の声に耳をすませながら
あの頃のことを思い出します。

風がひゅうと吹くたびに 
ないているのは お城だったのかもしれません。


いまでは幻の王国とよばれるこの場所には
朝も昼も夜もやってきません。

時がとまってしまった幻の王国で

そのお城と白馬は
いまでもずっと主を待ちつづけているのです。

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今回のおはなしは
第46話『霧の向こう』と
どこか世界がつながっているような感じです。


パラルシルセより届けられた
次回のキーワードは『仕上げのデザート』
ガラス作品は、ウェイターうさぎのペンダントです。






みなさんはこのテーマでどんなお話を想像されるでしょうか。
次回は2013年11月26日(火)18時にお届けします。
お楽しみに☆



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ガラスと線画の物語*第47話『赤いポンチョ』

2013年11月12日
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寒い寒い冬の夜

おじいさんは暖をとるため
薪をとりに小屋へいくとちゅう
立派なもみの木の前を通りかかりました。

とても立派なそのもみの木をみあげておじいさんは、
あとひと月もすれば今年もクリスマスがやってくることを思い出しました。

おじいさんは孫たちをよろこばせるために
ちょうどよい大きさのもみの木をさがしていたので

「今度切り倒して、家まで運ぼう」

そんなことを考えながら
その日は風も強く日も暮れてきたので 小屋へ薪をとりに
足早にその場を去りました。

次の日の夜、
おじいさんはあの立派なもみの木の下で
ちらちらゆれる小さな灯りをみつけました。

近づいてみると
こどもがひとり もみの木の下におりました。
その子が持っているろうそくの灯りが
冬の風にふかれて何度も消えそうになっては 
ちらちらと こころもとない火を灯しているのでした。

「こんなところで誰かをまっているのかい?
そんなかっこうで寒くないのかい。」

こどもは首を横にふるばかりで話そうとしませんでした。

時々、くしゃみをしながらも 
ろうそくの火が消えないようちいさな手で囲みながら 
ただじっとそこにとどまっているのでした。

次の日も、その次の日も 
夜になるとろうそくの灯りとともに そのこどもはあらわれました。

不思議に思ったおじいさんが、おばあさんにそのことを話すと

「まぁ、なんでもっと早く話さなかったの!そりゃ寒かったでしょうに。
私のつくったこのポンチョを持っていってあげなさいな。」


おじいさんは 
おばあさんがあたたかい毛糸でつくったポンチョを持ち、
その日の夜も立派なもみの木の下を訪れました。

あいかわらずろうそくを手に じっとたたずむこどもに
赤いポンチョをきせてあげました。

「これですこしはあたたかいだろう。
何を待ってるのかわからんが、はやく家にお帰りよ」

その夜 もみの木のしたのこどもは、
赤いポンチョがうれしかったのでしょうか。
すこしほほを赤らめて 帰っていくおじいさんをずっとみつめていました。


それからしばらくしたある朝のこと。

おじいさんがそろそろあのもみの木を切って運ぼうと
おおきなソリと犬たちを連れて森へむかいました。

ところが 雪でまっしろになった景色のなか
あの立派なもみの木がどこにもみあたりません。

おじいさんはおかしいなと思いながらも、
その場所にいってみて驚きました。

あのもみの木は倒れていて 雪のうえに横たわっているのでした。


根っこから倒れていたもみの木の枝には
ところどころに赤い毛糸がリボンのように結ばれていて

おじいさんは あのこどものことを思い出しながら
もみの木をそっとなでてあげました。


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☆omake☆




パラルシルセより届けられた
次回のキーワードは『幻の王国』
ガラス作品は、お城と白馬のイヤリングです。





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次回は2013年11月19日(火)18時にお届けします。
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ガラスと線画の物語*第46話『霧の向こう』

2013年11月05日
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この街に暮らしはじめて数ヶ月がすぎた頃のことでした。

街角のカフェに勤めていたわたしは、
コーヒーのいい香りに包まれながら 顔なじみのお客と 
とりとめもない世間話をするのが毎日の楽しみでした。

そんなある日
顔なじみのお客のひとりで
毎朝やってくるおじいさんが こんな話をしてくれました。


コーヒーのいい香りが店内に立ち込めるころ

おじいさんは注文したものがくるまでのあいだ
決まってポケットから何かをとりだし 
いつもずっと それをながめているのでした。

「この街にはもう慣れたかい?」

「ええ、おかげさまで。毎日たのしいですよ。」

いつもの世間話をしながら わたしは

おじいさんが いったい何をそんなに熱心にながめているのか
ずっと気になっていたので、そのとき思い切って聞いてみました。

「ああ、これかい。
これは私が子供の頃、じいさんにもらった宝物だよ。
気になるなら みてみるかい?」

おじいさんがポケットから取り出してみせてくれたのは
手のひらにおさまるほどの ガラス製のブローチでした。

「ガラスのなかをのぞいてごらん。あんたには何が見える?」


ガラスの中は白く濁っていて もやがかかっているようで
朝の光をすいこんだように輝いていました。


「きれいなガラス玉ですね、なんだか霧がかっているみたいだ。」

「そのとおり、この中には霧がかかっているんだよ。けれど」

おじいさんは少しあたりをみまわすと

「ごくまれに霧が晴れることがあるんだ。その時
霧の向こうにあらわれるものがもう一度みたくてね。
いつも見逃さないようにと こうやって眺めているんだよ。」

「霧の向こうにあらわれるものって、なんですか?」

「それはむかし、この街のはずれにあったんだ。
私はそこでずっと暮らしていたんだよ。」


わたしの耳元でこっそりと話してくれたおじいさんは
しばらくしてからそれっきり 店にやってくることはなくなりました。

最後にモーニングセットを注文したおじいさんの席には
あのガラス製のブローチが残されていました。


わたしはブローチを手に取り、もう一度ガラスの中をのぞきこんでみました。

すると不思議なことに
ガラスのなかの霧はすこし晴れていて
その向こうには 美しい立派なお城が静かに佇んでいました。

わたしは 
ガラスの中に広がるその幻想的な光景に 一瞬
心を奪われそうになりました。
おじいさんもまた、この不思議なブローチにを心奪われ、
片時も離さず眺めていたのでしょうか。


いつかおじいさんに大事な忘れ物を渡せるよう、
そのブローチはずっとカフェの片隅にしまっています。


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パラルシルセより届けられた
次回のキーワードは『赤いポンチョ』
ガラス作品は、ゆきんこのピンブローチです。








みなさんはこのテーマでどんなお話を想像されるでしょうか。
次回は2013年11月12日(火)18時にお届けします。
お楽しみに☆



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